岩手に帰りたい方へ。楽しくて幸せな製造業の世界をつくる人

皆さんは「職場に通いたくなる」、という感覚を持って働いたことはありますか?

普通は大変なことや苦労することが連想されて、職場や仕事に対してポジティブに楽しめる感覚を持ちにくい人もいるのではないでしょうか。

しかし、岩手県一関市には、「通いたくなる」という社員ばかりの、仲良しで楽しい職場とウワサの会社があります。しかも、製造業で。

その会社は、一関市と隣接する奥州市に3つの工場を構える金属加工メーカー、株式会社長島製作所(以下、長島製作所)。石油ストーブの天板や置台、自動車の部品やプリクラの機械など、私たちが普段当たり前のように使っているモノを構成する大切な部品が作られています。

本当に仲良しなの?と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、従業員の皆さんは都合が合えば、

サイクリング

親睦を深めるBBQ

市内のソフトバレーボール大会

などなど、男女や世代を問わず一緒に過ごしていることが多いそうです。
(写真は従業員の皆さまからご提供いただきました)

「工場」と聞くと、無骨で機械的な雰囲気をイメージする方が多いかもしれません。 しかし、長島製作所の工場をのぞいてみると、従業員一人ひとりの表情が明るく、活気のある雰囲気が伝わってきます。

一体、何をしている、どんな会社なんでしょうか。代表取締役社長の新宮由紀子さんに案内していただきました。

従業員の約3割が女性!ゼロからでも働きやすい環境を目指して

「うちはとにかくみんな仲がいいんですよ。社員同士の距離が近いからこそ、困っていることや不満はどんどん言ってほしいし、その都度みんなで考えて改善していきたいと思っています」

そう語る新宮さんと総務部長の須藤三樹夫さんは、従業員のことを「仲間」と呼びます。会社の代表でありながら各工場を歩いて回り、一人ひとりにフランクに話し掛けるのが日常のようです。

長島製作所は従業員の約3割が女性。新宮さんが製造部長だった頃、子育てと仕事の両立に悩んだ経験から「女性でも安心して働ける会社」を目指して職場環境の整備に取り組んでいます。

板金製造課グループリーダーの春日谷恵美子さんも、子育てをしながら管理職として製造現場を任されている社員の一人。全く違う業種からジョブチェンジして入社したそうです。

長島製作所では、一人ひとりが仕事にやりがいを感じて働けるようにと、「親睦委員会」や「挨拶委員会」「ISO委員会」「エコアクション委員会」など7つの委員会のいずれかに従業員全員が所属しています。

その中で、春日谷さんは「ワークライフバランス推進委員」 として従業員が働き方に困ったときに相談できる窓口役を担っています。子供がいる従業員の育休の取り方やワークライフバランスの相談に乗ったり、従業員がさまざまなスキルを身に付けて活躍するためのサポートを行ったりしています。

春日谷さんは「転職する時は正直、工場で働くことにネガティブなイメージを抱いていました。でも入社してみたら想像とは全く違って。工場を実際に見て社員と話したら、上司との距離が近くて相談しやすい環境であることが分かると思います。ぜひ一度、見学しにいらしていただきたいです」と、会社の魅力を語ります。

次に出会ったのが、自動車製造課グループリーダーの伊藤祐さん。

伊藤さんも春日谷さんと同じように、入社するまで金属加工の技術や知識は身に付けていなかったと言います。

「入社したばかりの頃は、工具の名前も分からないところからスタートしました。講座や勉強会などに参加して、一緒に働いている皆さんと毎日金型と向き合って試行錯誤を積み重ねることで成長できました」

未経験ながら熱心に取り組み、今では管理職として活躍している伊藤さん。技術や経験がなくても、ゼロから磨き上げて成長し、活躍できる環境が長島製作所では整えられているようです。

また、2019年に入社したばかりの自動車製造部生産技術課設計グループの本館和樹さん は、社員同士の関係性の良さが入社のきっかけになったと話します。

「上司が日ごろから声を掛けてくださるおかげで情報共有や相談がしやすく、とても働きやすい環境だなと思っています。まだ分からないことも多く勉強の毎日ですが、一から冶具や生産ラインを設計できることにやりがいを感じています。いつか先輩方みたいに格好よく仕事をしたいです」

工業系の短期大学を卒業し、自分の身に付けた技術を存分に発揮する本館さん。
同じ部署には生産ラインを自分で設計できる若手社員も多数在籍しており、これが長島製作所の強みにもなっていると新宮社長は言います。

お話を伺った3人の表情からは、長島製作所で働く楽しさ、そしてやりがいのある仕事ができているという充実感が感じられます。

長島製作所が積み上げるダイバーシティ経営の取り組み

長島製作所では「YKI活動」と呼ばれる活動を通じ、さまざまな業務改善を絶え間なく行う中で従業員が働きやすい職場を実現しています。YKIとは「Y=やりづらい」「K=気を遣う」「I=イライラする」作業や気付きを社内で共有すること。

現場から出てきた全ての課題や改善提案を日々検討してきたことが、業務改善を行う会社の風土を育てています。今は全従業員が主体的にYKI活動に参加するようになり、これまで反映された改善策は1200件以上に上っています。

「人生のうち仕事が占める割合って結構大きいでしょう。だからこそ、みんな楽しく仕事をしてほしいし、みんなに幸せでいてほしいんですよ」

新宮さんはこの言葉通り、働きやすさを実現できる会社のカルチャーをつくりました。身体障害者の雇用や65歳以上の従業員の契約更新などを行っている実践が認められ、長島製作所は、経済産業省「新ダイバーシティ経営企業100選」や「地域未来牽引企業」に選出されるだけでなく、厚生労働省の「くるみん」に認定され、「いわて女性活躍認定企業」などにもなっています。

「最終的には、社会貢献ができる企業でありたいんです。でも、それができるには、まずは社員の幸福を願うことが大事だし、技術力を高める努力も惜しんではいけないと考えています。老若男女問わず、どんな人も働ける長島製作所であり続けることが私の目標です」

こうした新宮社長の熱意と実践は、日刊工業新聞社の「地域社会貢献者賞」の優秀経営者表彰にもつながり、現在は岩手県の商工労働観光審議会や教育振興基本対策審議会をはじめ国立大学法人岩手大学経営協議会などの委員を委嘱され、自社の取り組みを世の中に還元する活動も行っています。

一緒に未来をつくっていく仲間に来るべき時に出会いたい

実は今、長島製作所では大々的に従業員の募集はしていません。しかし、個別に連絡をもらった方や会社見学に来た方には採用面接をしています。

「うちの工場は、実際に見学したり、働いている人に話を聞いたりすることで魅力が伝わると思っています。だから、いいも悪いもありのままを見ていただいて、『本当に自分が幸せになれる仕事』を選んでもらいたいんです」

こうした新宮さんらしい考え方のもと、口コミなどで見学に訪れる人が採用に至るケースが多いそうです。会社の雰囲気や実際に働く従業員に接してもらうことで、自然と人が集まってきているといいます。

「近い将来、岩手で働きたいと思っている人が、この求人を見ていつかうちを思い出して興味を持ってくれたらうれしいです」

新宮さんは今日も、「仲間」とともに未来の景色を見るべく、世界への挑戦を続けています。これは数年後に一緒に未来をつくっていく仲間へのお手紙のような求人です。

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