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KAERU BOOK
第1回「冬に思い出す本、かえりたくなる本」

KAERU BOOK第1回の今回は、KAERU編集部が選んだ「冬に思い出す本、かえりたくなる本」を4冊ご紹介します。

年末年始は、岩手に帰りたかったけど帰れなかった、という方も多かったのではないでしょうか。そんなみなさんも、読んでいて思わず「なつかしい〜」「わかるわかる」と呟いてしまうような本たちを選びました。2021年もしばらく続きそうなおうち時間には、読書で岩手に「かえる」のはいかがでしょうか?

『風が強く吹いている』三浦しをん(2006)

箱根駅伝に挑戦する男子大学生たちの様子を描いた話で、読んだ後に地元を離れた頃や正月に実家で過ごしている時の気持ちを思い出す本です。たくさんある冬のイベントの中でも私にとっては、駅伝が岩手の実家で過ごす冬には欠かせないものになっています。特別自分は好きというわけじゃないけれど、いつもお正月は父が箱根駅伝を見ている、母もこれまた特に興味はないけれど年賀状と駅伝を交互に見ながらお茶をすする、そんな姿を思い出しては今なら一緒に楽しめる気がするなぁと思う一冊です。

『西の魔女が死んだ』梨木香歩(2001)

学校に行けなくなってしまった主人公の少女が森に住むおばあちゃんと一緒に暮らすことになる物語。私が小学生のころから図書館で人気だったこの本は多くの人のバイブルになっているように思います。おばあちゃんと少女の森の中での生活は、野菜やハーブを育てたり、ジャムをつくったりとまさに自給自足の山暮らし。畑仕事をしたり、梅酒を作ったり、くるみをすりつぶしてくるみ餅にしたり。自然と暮らし、モノを大切にする岩手の生活と重なる部分がたくさん感じられます。

『神去なあなあ日常』三浦しをん(2012)

大学受験に失敗した少年が地方で林業研修を始める物語。近くの商業施設までも車で数時間。電波は繋がらない。言葉は荒いしわかりづらい。でも、どこかあたたかい日々の会話の数々。田舎のいいところだけではなく、不便なところも全部おもしろおかしく描かれていて、読みながら思わず「そうそう、わかる〜」とつぶやいてしまいます。東北では色々な地域にお祭りがあり「神様に祈る・供える」文化が浸透していますが、この物語の中でも、山での神隠しや祭りを大切にする人々の様子が描かれており田舎ならではの行事、風習を思い出します。

『あいたくてききたくて旅に出る』小野和子(2019)

民話採集者の筆者が、東北の村々で民話を求めて訪ね歩く民話採訪をしながら聞いた話、起きた出来事を丁寧に綴った本。一つひとつの場所とそこで聞いた話が短編集のようになっているのでとても読みやすいです。民話に引き込まれるのはもちろん、筆者の地元の人との距離の縮め方や地域の人々との会話が何気ないようでとても重要な意味を持っていて、人生について教えてもらっている気分になります。特に「エゾ」について書かれたところでは、思わず私も自分のルーツや蝦夷について調べるきっかけをもらいました。今思えば私自身、新型コロナウイルスの感染が広がった外出自粛期間中はこの本を読んで岩手に帰りたくなっていました。

昔読んだことのある本でも、読む場所や自分の今置かれている環境によっては感じ方が変化していることもありますよね。

岩手のお菓子や、お酒、お茶をおともにして読むと、より雰囲気を楽しめるように思います。
気になった方は、ぜひ読んでみてください。