
地域の新たなプロジェクトの一員として 自分らしい働き方・生き方を見つける
「働き方改革」という言葉が社会に浸透し、多くの人が自分自身の働き方や生き方を見詰め直すようになった昨今。新型コロナウイルスの影響で急速に進んだ各企業のリモートワーク導入も相まって、その機運はさらに高まっています。
自分に合った仕事やスタイルを見つけ、自分らしく暮らすことを多くの人が求める時代。
そうした社会情勢を背景に、岩手県最南端の一関市では、地域おこし協力隊として新しいプロジェクトに共に取り組んでくれるメンバーを3名募集しています。
構想しているテーマは以下の3つ。
①「ワーケーション」の事業構築:観光物産課
②地産地消・地産外商のPR:地産地消・外商課
③西洋野菜の産地化:南部農業技術開発センター
どのプロジェクトも大枠はありつつも、詳しい業務内容や具体的にどのような方法で行うかなどは、市職員と相談しながらフレキシブルに進めていきます。それぞれのプロジェクトに求められる人材やどんな役割が期待されているのかなど、各課の担当職員にお話を伺いました。
働き方の提案と実践を
先駆者として柔軟に活動

まずは①「ワーケーション」の事業構築について。
ワーケーションとは、「work(仕事)」と「vacation(休暇)」を組み合わせた言葉で、リゾート地などで休暇を取りながらリモートワークを行うこと。時間や場所に縛られない新しい働き方として、近ごろ注目を集めています。
「これまで移住・定住の促進に取り組んできた中で、特に若い人に来てもらおうと思ったら、まずは働き口があることが大前提となっていました。しかしながら、実際には難しい面もあり……。仕事を用意して人に来てもらうというよりは、自分なりの働き方を実践している人に来てもらう、という考え方にシフトしていきました」と話す観光物産課の三浦 洋さん。

近年は、各自治体が競うように移住・定住を図るための取り組みを進めている一方で、移住でも観光でもない、さまざまな形で地域とつながる「関係人口」を増やそうという動きが広がっています。
一関市でも新しいやり方を模索する中で、まだ取り入れている自治体が少ないワーケーションという新しい働き方にいち早く着目したのだといいます。
このプロジェクトは、一関市の地域おこし協力隊でありながら、都市部との2拠点ワークや複業など希望の勤務形態や居住スタイルを提案・相談できる、自由度の高い募集要項となっています。
「これまでの経験やキャリア、持っているスキルを最大限に生かして、市側の考える課題に取り組むだけでなく、自分でも地域課題を見つけてもらいたいです。解決のために自発的に動いてくれるような人に来てほしいですね」と三浦さん。
一番に求められているのは、自らワーケーションを実践しながらその仕組みづくりにも力を尽くすこと。市としても初めての取り組みで手探りの部分が多い中、草分け的存在としてワーケーションを広め、定着に向けて奮闘してほしいとのことです。
そして、一関の豊かな自然環境や観光資源を組み合わせた新しい働き方を実践・提案することによって、地域と多様な関わり方をする人が増え、これまでにない観光スタイルを確立しながら、最終的に移住・定住の促進にも波及していくことが望まれています。

地域に入り込んで
魅力の掘り起こしを
「外からの視点で見たときに気付く魅力というのもあると思うので、地元の人では気付かないところにも目を向けて、新しい発見をどんどんしてほしい」と話すのは、地産地消・外商課の菅野ゆう子さん。

同課では、いわて南牛、南部一郎かぼちゃ、矢越かぶといった特産品や夏秋野菜などの農産物を県内だけでなく、都市部を中心とした県外にも広める取り組みを行っています。
地産地消・地産外商のPRに取り組む地域おこし協力隊員には、すでにあるものをPRすることに加え、新たな地域ブランドの創出など自由な発想を持って活動してほしいといいます。
地域内の事業者や団体、個人の方々の商品化に向けた支援、マーケティング活動を通して農業課題の解決や地域の活性化などを目指す取り組みを行うこと。
さらに、生産者・加工者・販売者をつなぐコーディネーター的な役割が求められています。
「まずは、地元のいいものをどうやって外に売り出していくか、という課題があります。イベントに出てもまだまだ知名度が低く、PR不足を実感しています。積極的に地域の生産者さんと関係をつくり、消費者のニーズを探る中で、商品開発やブランド化といったことに取り組んでいただけるといいですね」

豊富な資源をどう生かし、アピールしていくか。実際に「売る」ということになると、自治体だけではできることが限られてしまうのだそうです。
PR戦略や販路拡大、生産者と消費者との橋渡し、次なる特産品の発掘。
これらのことに主体的に取り組んでもらうための機能となる地域商社やマーケティングの知識があったり、プランニングに興味があったりする人材が求められています。
また、これらの活動にその人自身の働き方、暮らし方が生かされることも期待しているとのことで、勤務形態などは相談しながら進めることができます。

西洋野菜の作り手を増やし、
消費・普及につなげたい
「そもそも西洋野菜は一般家庭で食べるというよりは、飲食店などプロ向けのもの。需要は高まっているのに国内ではあまり作られていないことから、もっと身近な食材にできないかと考え、産地化に取り組むことになりました」
こう話すのは、南部農業技術開発センターの日下(くさか)昭二さん。

あまりなじみのない「西洋野菜」という言葉に不意をつかれますが、もともとは地域の生産者に冬場の農閑期の仕事をつくる、ということから生まれたアイデア。主力野菜の栽培とは別に、楽しみながら農業をするという意図もあるそうです。
こうした経緯から、一関市では西洋野菜の産地化を目指した試験栽培などの取り組みが2017年度から始まっています。
現在主に取り組んでいるのは「両磐4Hクラブ」という若手農業者のグループ。20人ほどいるメンバーのうち数名が参画しています。
「産地化を進める上で、必要なのは収量を確保すること。そのために、作り手を増やしていくことと、販路開拓など作ったものを売るための仕組みづくりを同時に進めていかないといけない」と話す日下さん。
西洋野菜の産地化に取り組む地域おこし協力隊員は、まずは、若手農家さんたちとの関係をつくりながら、取引先となる飲食店とのつながりを広げるために動いてもらうことを想定しているのだそうです。
こちらは本当にまだ始まったばかりの新しいプロジェクト。
作ることと売ることの両方を進めていくことが必要で、いろいろな人と関わりながら活動していくことになりそうです。

「地域の方と一緒になって進めていく中で、興味が湧けば生産者になってもらってもいいですし、研究会などの組織をつくってその運営をしてもらってもいい。自分でお店を開いて西洋野菜を広めていくというのも面白いと思います」と日下さん。
どのような形で産地化を進め、関わっていくか、その人自身の得意分野を生かし、興味ややりたいことを突き詰めてほしいといいます。
3年間を有効活用
「自分で仕事をつくる人」求む

この求人の特徴は、いずれのプロジェクトも、どのようなアイデアを持って取り組んでいくかを任されていること。
また、一関市では外部から地域に関わる人たちが持ち込んでくれる新しい視点、それによって起きるであろう変化をとても前向きに捉えています。
菅野さんは「都市部の若い方を中心に豊かな自然環境の中で働き、暮らしたいというニーズが高まっていると聞きます。これから地域おこし協力隊になっていただける方の生きがいや仕事づくりが私たち受け入れ側の課題や目的と組み合わさって、新しい価値が生まれ、地域力の強化を図ることにつながっていくといいですね」と言います。
自分なりの働き方・暮らし方を追求しつつ、3年間という限られた期間で「地域に仕事をつくる」という強い気持ちでチャレンジできる人を一関市は求めています。
※今回の協力隊募集のコーディネートに関わり、採用時の窓口となるのは一般社団法人いわて圏です。